ベニテス監督は選手の心をつかめるか
ベニテス監督が周囲の喧騒を黙らせるには、とにかく選手の役割を明確にし、自らの意図に従わせるしかない。
それが最も如実に現れていたのが、10-2と記録的大勝を手にした第16節ラージョ戦の前半14分までだった。
クロースがアンカー、モドリッチとハメスがインサイドハーフと、プレーメイカーのみを並べた中盤は全くといっていいほど守備の決め事がなく、サイドのスペースはガラ空き。モドリッチがカバーに走ってはいたものの、前線からのサポートは皆無。付け焼刃感が否めず、そこを的確に突いたラージョがわずか2分間で2得点を挙げて逆転に成功していた。
その後、ラージョは2人の退場者を出して試合終了。マドリーは10得点を挙げたが、14分までを切り取れば後半戦へ向けて不安要素しか見当たらない内容だった。
ハメスが不在の間、アンカーの役割を担い中盤の引き締め役として機能していたカゼミーロの起用法を再考するのか、前任のアンチェロッティ監督がクロース&モドリッチの中盤でどのようにバランスを生み出していたのか…。ベニテス監督が首の皮をつなぎとめるには、多くのことを考えなければならないだろう。
そして、それを解決する第一の課題は選手の心をつかむことだが、それこそがベニテス監督にとって最も困難なミッションとなっている。
【次ページ】診断