全く機能していない中盤。モドリッチの力が生かせず
シーズンの出だしは決して悪いものではなかった。開幕戦のスポルティング・ヒホン戦こそ0-0で終わったが、その後はベティス戦で5-0、エスパニョール戦で6-0という大勝劇を繰り広げ、CLを含めて公式戦5試合連続無失点を達成。
イケル・カシージャスがポルトへ移籍し、デ・ヘア獲得に失敗したことでポジションを得たケイラー・ナバスは連続無失点とともに“救世主”として大きな注目を集めた。
ところが、その間もエースのクリスティアーノ・ロナウドは終始浮かない表情。ここまでリーグ戦で12得点、CLで11得点を挙げてはいるものの、固め打ちやPKでの得点が多く、敗戦を喫した試合では消えてしまうことも少なくはない。指揮官との関係も冷え切っているとの報道もあり、100%のパフォーマンスを発揮しているとはいえない状態となっている。
加えて、ベイルやハメスは負傷で不在となる期間が多く、何よりベンゼマがマテュー・ヴァルビュエナへの恐喝容疑で逮捕。ベニテス新体制はシーズン序盤からなかなかベストメンバーを組めない状況が続き、チームの成熟度はいまだに高まっていない。
そんな中で行われたホームでのバルセロナ戦では0-4と敗戦。その後も勝利こそ挙げながらも内容的には不十分な展開が続き、賞賛の対象だったケイラー・ナバスにも今では批判的な目が向けられている。
何より、現在のマドリーが順調ではない証ともいえるのがルカ・モドリッチのパフォーマンスだ。もとより得点数こそ多くはないモドリッチだが、ゲームメイク能力に関しては世界トップクラスの実力を持つ選手。
ところが、そのモドリッチがこのベニテスのチームでは攻撃なのか守備なのか、やるべきタスクは判然とせず、自らの判断で全く機能していない中盤の守備のカバーにエネルギーを費やしている状況となっている。
リーグ戦ではバルサとアトレティコに勝ち点2差の3位、CLではグループ首位通過を決めたものの、現状のままでは後半戦でのアップは望めず、むしろダウンの方がイメージしやすい。現地では早くも監督交代を煽る報道も多発している。