遠退いている選手権の栄冠
激動の時代にあっても、市立船橋の強さは変わらない。今年も年の瀬から高校サッカーの祭典である第94回全国高校サッカー選手権大会が行われる。
優勝候補は、高校総体で決勝を戦った1位・東福岡(福岡)、2位・市立船橋(千葉)。そして、両チームとともに高校世代の最高峰である高円宮杯U-18プレミアリーグで1年を通して優勝争いを演じた青森山田(青森)、強豪ひしめくプリンスリーグ九州をダントツで優勝した大津(熊本)、U-18日本代表のエースFW小川航基を擁する桐光学園(神奈川)といった面々だ。
中でも、市立船橋は、かつての超強豪校である帝京(東京)、国見(長崎)に並ぶ戦後最多タイとなる6度目の優勝を狙う存在として要注目だ。
高校サッカー界は、Jクラブの育成組織増加に伴い、戦力分散が進行。かつてのようなプロ予備軍の集団を作ることは、ほぼ不可能な状況となっており、近年は完全に群雄割拠の様相を呈している。
市立船橋も一時代を築いた布啓一郎監督が有終の美を飾った第81回大会(2002年度)の後、石渡靖之監督の下で高校総体を3度優勝したものの、選手権では思うような結果が出せない時期が続いた。
しかし、4年前に布・元監督の教え子で第73回大会(1994年度)の初優勝に貢献した朝岡隆蔵監督が就任すると、「市船は選手権では勝てないとか言われるようになり、ふざけるなというくらいの気持ちを持っていた。何が何でも勝ってやるという気持ちだった。市立船橋に負けて良い試合はない」とプライドの復活を前面に押し出して、いきなり第90回大会(2011年度)を制覇。その後も2013年度の高校総体制覇など安定した強さを発揮している。