伊藤が語る夢。澤の教え胸に一歩を踏み出す
澤の助言によって新境地を開拓した伊藤。今ではボランチが自分に最も合っているポジションだと感じている。そして1年間偉大な先輩の隣でのプレーを経験したことで目標も明確になった。「W杯やオリンピックで自分がピッチに立って優勝したい」と自身の夢をはっきりと言葉にして表現する。
充実の1年を終え、”親離れ”の時が近づいている。今はまだ澤がいなくなることに「実感はない」と語るが、同時に「いままでの練習や試合での澤さんの姿は頭に焼き付いているので、それを忘れないように、自分の財産としてとっておいて、もっといい選手になれるように」とさらなる成長を強く誓うきっかけにもなった。
「絶対に負けないという気持ちがすごく強くて、試合に勝つっていうこともそうなんですけど、1対1で目の前の相手に負けないだとか、強さがある選手だと感じましたし、それがチームの原動力担っていると思うので、すごい選手だと思います」
伊藤は今年で引退する澤をこう表現した。おそらく他の選手に聞いても同じような答えが返ってくるが、「強さ」が日本サッカー界のスーパーレジェンドを表すのに最も適した言葉なのだろう。
来年からは長いポニーテールをなびかせてゴールに突進し、味方のミスをカバーし、激しいタックルを見舞って、チームを鼓舞する澤の姿を見られない。しかし、限られた数少ない人しか経験できなかった”澤の隣”を1年間全うした伊藤には後継者になれるポテンシャルがある。本人も実感した今年の成長と澤の姿を胸にプレーを続ければ、自然となでしこジャパン、さらにはオリンピックやW杯での優勝という夢の中心にいる自分の姿が見えてくるだろう。
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