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『全部私がカバーするから』。20歳を”隣”で支えた澤の言葉。新境地開拓で自信を掴んだ伊藤美紀、愛情に育まれた充実の1年

text by 舩木渉 photo by Getty Images

芽生えた責任感。”澤離れ”が成長のチャンス

 伊藤にとって澤との濃密な2年間はあまりにも大きな財産になった。「自由にやって、できないことはないからミスをしてもやり続けたら大丈夫だし、自信を持ってやった方がいいよ」。そんな澤の何気ない言葉が20歳の若手に揺るぎない自信を植え付けた。
 
「私は元々メンタル的に弱い選手なので、ミスした後に結構ずるずる落ちていくタイプなんですけど、澤さんの『ミスしてもやり続けたら大丈夫』というその言葉で救われて、どんどん積極的にやろうという思いになって、そこから少しずつメンタルも強くなっていったんです」

 自分の特徴をここまで冷静に分析できる若い選手はなかなかいない。そんな向上心の塊を澤の言葉が変えた。今では自信とともに使命感、責任感も芽生えている。

「(ボランチは)守備でも攻撃でも一番大事なポジションになってきますし、パスの精度も高めていかないといけなません。守備ではいままで澤さんが全部ボール取りきっていたところのが大きかったので、自分が今度はそういう選手にならなきゃいけないと思う。今はまだまだ出来ないことの方が多いんですし、頼っていた部分があったと思うんですけど、頼る人はいなくなる」

「澤さんがいるだけで雰囲気は全然違いますし、明るくなる。そういう選手がいなくなってすごく寂しいんですけど、そればかりに頼ってはいられないですし、自分が成長するひとつのチャンス。頼れる選手がいなくなった時にどれだけ頑張れるかだと思うので、そういうところをしっかり意識してやっていきたい」

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