異次元の強さでリーグ首位を独走
リーグ1の前半戦は、予測どおりパリ・サンジェルマン(PSG)が大勝。『勝ち点51』という新記録で、秋季チャンピオンに輝いた。
……などと言っても、とくに感動もない。
チビッコ相撲に大人が一人混ざって、バッタバッタと相手を放り投げて得意になっているようなものだからだ。
それでも、パルク・デ・プランスの記者席に陣取るPSGファンの“自称ジャーナリスト”たちは、チャンスのたびに机をドンドン叩いたり足をバタバタやったり毎回大騒ぎしている。
少し意地悪かとは思いつつも、
「この展開で勝って、うれしいもんですかね?」
と尋ねると、彼らは答える。
「いや、勝つのは当たり前なんだよ。だけどドローは負けと同じ。だから負けるわけにはいかないんだよね」
今季、彼らが首位を独占するであろうことは確実だったが、これほどまでの一頭レースは予想以上だった。
こうなった理由は2つ。
PSG、とりわけエースのイブラヒモビッチが、開幕前の予想をはるかに超える絶好調を維持していること。
リヨンとのスーパーカップで膝を傷めたイブラは、第3節まで欠場と出遅れたが、第7節のギャンガン戦で初ゴールを決めると、その後はコンスタントに得点を重ねて、15ゴールと今年もチーム最多得点。6アシストと合わせて21得点に絡む活躍でチームを牽引している。
2つ目の理由は、ライバルたちが失速していること。
マルセイユは開幕戦後にビエルサ監督が辞任するというゴタゴタがあり、後任監督を迎えて軌道に乗せるまで時間を擁した。そしてリヨンも、主砲ラカゼットの不振などもあって停滞、クリスマス明けには、フルニエ監督が更迭となった。
そんな中で前半戦を2位で終えたのは、ディフェンダーがチーム最多得点者という、著しく攻撃力の低いモナコだ。彼らと首位PSGとの間には勝点19点もの差があるが、それだけの勝ち点差があるのは、スペイン、イタリア、イングランド、ドイツの周辺リーグを見てもここだけである。