浮き彫りになった選手層
だが前出のリバプール戦で浮き彫りになったのが、レスターはいまだにトップチームではなく、“勢いのある”スモールチームだという事実である。お世辞にも現在のリバプールは強いチームとはいえず、今季のレスターであれば十分に勝機を生み出せるチームのはずだ。しかしそのリバプールを相手にして、シュート数25本対7本という圧倒的な劣勢の状況になり、試合終了間際までまるで可能性を感じさせられなかった。
最大の理由は、インフルエンザで病み上がりのヴァーディーにまるで勢いがみられなかったことだろう。後半24分に交代するまでのヴァーディーには、普段の裏を狙う動きやサイドに開いての仕掛けもなかった。エースの影響力が薄れた際に岡崎などのほかのアタッカーが実力を発揮するか否かは、今後を占ううえで重要事項となる。
さらにもともと選手層が厚いわけではなく、後半戦にかけて故障者も増えてくる可能性も高い。すでにダニー・ドリンクウォーターやジェフリー・シュルップといった主力がケガで離脱しているが、彼らがいなくなり、試合の途中に切れるカードの少なさはすでに明らかだ。
ヴァーディーやマハレズと並んで重要な選手がカンテだが、MFのパートナーであるドリンクウォーターがいなくなり、彼への負担は明らかに増大している。このフランス人MFはチームの心臓であり肺だ。縦へのパスが少ないレスターにおいて、守備から攻撃への切り替え、そして組み立て、さらに崩しの局面で大きく貢献する存在なのである。そのカンテがもしケガをして離脱するようなことになると、チーム力が低下するのは明らかである。
そのためには、控えとしては心細いアンディ・キングとインラーの代わりになる、プレミアリーグの経験を持つ中盤センターに選手を補強すべきだろう。欲をいえば、フートに代わるよりスピード感に優れたCBも欲しいし、ダニー・シンプソンよりも攻守にグレードアップした右SBも必要だ。とはいえ、急を要するのは、万一に備えて中盤の真ん中に実力者を加えることだ。