最高の前半戦。選手も称賛するラニエリ監督の手腕
しかしながら今季のチームは、誰も予想もしていなかった最高の形で前半戦最終戦を迎えている。
直近のリバプール戦を落としてシーズン2敗目を喫したものの、それでも12月下旬、18試合を終えた現時点で勝ち点38を獲得。アーセナルやマンチェスター・シティといった強豪を抑えて、単独首位に立っている。
最大の強みは攻撃力だ。37得点はリーグトップタイで、プレミア2年目で急成長したジェイミー・ヴァーディーはリーグ記録更新する11試合連続ゴールを含む15点を決めて目下得点王。さらに2位タイには、13ゴールでリヤド・マハレズもいる。
とはいえ、最近になるまではプレーの意図が見られず、円滑に試合を進めているようには見えなかった。11節のウェスト・ブロムウィッジ戦後、日本人記者陣に「ラニエリ監督が何か特別なことをやっているように見えないのだが」と聞かれた際、今季からチームに加入した岡崎も「ないですね!」と笑いながら話していた。
だが今はそれも違う。敵にボールを持たせながら、ひとたびそれを奪い取ると、マーク・オルブライトンやカンテを経由してヴァーディーやマハレズ、岡崎といった前線の選手に素早くつなげる。そして一気に敵のゴールを急襲し、抜群の決定力を誇るアタッカーがフィニッシュするのだ。
序盤戦は目的意識が分かりづらく、ピアソン前政権から引き継ぐ勢いだけの“イケイケどんどん”のスタイルが目立っていた。だが今ではラニエリ監督の求める堅守速攻が形としてできてきたのである。そのため、11月下旬になると、岡崎のコメントも「自分たちは形がある」(13節のニューカッスル戦後)、「勢いだけではなくなった」(16節のチェルシー戦後)と変化が出ている。
レスターの不動の守護神となったキャスパー・シュマイケルは言う。「ラニエリ監督が成功したのは、すべてを変えようとしなかったことだ」。そして「壊れていないものを直そうとはせずに、調整を必要する点だけに手を加えた。コーチ陣も変えずに、選手がプレーしやすい環境を整えてくれた」と、指揮官の手腕を称える。