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香川真司 9年前

香川が取り戻したイメージ。白黒の残像が色鮮やかに反転。完全復活の前半戦を振り返る

text by 本田千尋 photo by Getty Images

「ピッチで自信を持って、勇気を持って、やるしかない」

 香川が、ようやく爆発的なパフォーマンスを見せたのは、14/15シーズンの最終戦でのことだ。ホームのブレーメン戦で、香川は「最終戦に来てここまでで初めての手応え」を感じて、先制点を含む1G2Aと八面六臂の活躍を見せる。

 昨シーズン中は「カガワは下手になった」と嘆くファンもいた。香川自身「ファンから求められるものは、1、2年目のものというのは分かっています」とブレーメン戦の後で述べている。誰より香川が、かつての輝きを取り戻せない自分に不甲斐なさを感じていた。そして不甲斐なさを打破するのは、他の誰でもない、自分自身だということも。

「そのためには日頃から準備していくしか方法はないですし、後はピッチで自信を持って、勇気を持って、やるしかない」

 つまり「日頃から準備して」、「後はピッチで自信を持って、勇気を持って、やるしかない」という覚悟を持って臨んだのが、15/16シーズンの開幕戦、対ボルシアMG戦だったのだ。

「なかなかプレシーズン、うまく行っていないところがあったので、不安もありましたけど、だからすごく集中して試合に入りました」

 BVBの指揮官がクロップからトゥヘルに代わったことで、「絶対的なものはないし、今、僕は特にね」と香川は言った。試合に出場するために、改めて新監督の信頼を掴む必要がある。燃え滾るアピールの気持ちをコントロールしつつ、チームメイトとの間で、コンビネーションの熟成を図る。トゥヘルとの対話を繰り返す。トレーニングとテストマッチを交互にこなしていく。

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