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Jリーグ 9年前

Jリーグはリーグ戦を「予選」化するな【小田嶋隆の「日本サッカー」を、取り戻す】第1の矢

シリーズ:小田嶋隆の「日本サッカー」を、取り戻す text by 小田嶋隆 photo by Getty Images

日本の野球界がアメリカからパクった「ポストシーズン」

 なによりもまず、「ポストシーズン」という言い方が気に食わない。

 この言葉は、もともとアメリカの野球の世界で使われていた言葉だ。

 それを、日本のプロ野球界がパクったのが、「クライマックスシリーズ」と呼ばれる、日本野球界のお手軽ポストシーズンゲームだ。

 これも、古くからの野球ファンには評判が良くない。というのも、リーグの優勝チームを、シーズン順位3位までのチームによるトーナメント戦で決めるクライマックスシリーズのレギュレーションは、半年間140試合に及ぶ長いリーグ戦の結果を単なる「予選」(あるいは「決勝トーナメント進出を争うグループリーグ」)扱いにおとしめてしまう暴挙を含んでいるからだ。

 アメリカのメジャーリーグが、ポストシーズンのゲームでリーグ優勝を争う仕様になっているのは、そもそも、あの国が広大で、全米を東地区、中地区、西地区という3つの地区に分割しないとリーグ運営が困難だからだ。

 それゆえ、メジャーリーグの各チームは、シーズン中は、もっぱら各地区内のチーム同士で勝率を争っている。

 で、シーズン終了後に、ふだんは対戦しない各地区の勝率1位のチーム(実際には、これにワイルドカードの1チームが加わる)同士であらためて、リーグ全体の優勝チームを決定する。

 さらに、二つのリーグの優勝チームが全米一のタイトルを賭けて、「ワールドシリーズ」という短期決戦で雌雄を決する。この、シーズン終了後に行われる、プレーオフとワールドシリーズのエキストラゲームが、「ポストシーズン」ゲームと呼ばれている。

 ちなみに、ポストシーズンの興業がリーグ関係者やメディアにとって魅力的なのは、試合の収益が、チームにではなく、リーグに属するからだ。

 だからこそ、日本の野球界は、さっそくこれをパクったわけなのだが、残念ながら、狭い国土で行われるわが国の野球は、たったひとつの地区で戦われており、チーム数自体も各リーグ6つずつしか無い。

 おかげで、6つしかないチームの中の3チームが進出するポストシーズンゲームには、まるで緊張感が無い。必然性もない。あるのは、リーグの収益だけだ。

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