川澄奈穂美【写真:Getty Images】
女子サッカー日本一を決める皇后杯決勝が27日に行われ、INAC神戸レオネッサがアルビレックス新潟レディースを1-0で破って2年ぶり5度目の優勝を果たした。
そしてこの日はINAC神戸の澤穂希にとって現役最後の試合となり、2万人を超える観客がその雄姿を見守った。
そんな中、澤は78分にコーナーキックに頭で合わせて決勝点を挙げ、チームを勝利に導いた。現役最後の得点を正確なキックで演出した川澄奈穂美は「これが最後のコーナーになるんじゃないかなという気持ちで合わせにいきました」と狙い通りだったことを明かしたが、ゴールには「『すごい』と『さすが』以外の言葉がない」と述べた。
しかも川澄曰く、最後のコーナーキックは神頼みだったという。試合後、「『最後にサッカーの神様にお願いした』と澤さんも言っていて、私もあそこでボールを取りに行く時に、いままでいろいろ苦しいことを乗り越えてきて、女子サッカーを引っ張ってくれた澤さんに最後ゴールを本当にプレゼントしたいから、ということは神様にお願いしました」とピッチ上での心境を語った。
澤と川澄の出会いは20年近く前に遡る。そこから長い時間を経て共にプレーするようになり、引退前最後のゴールもこの2人から生まれた。川澄は自身にとって澤の存在があまりに大きなものだ。
「私が当時の全日本選手権の決勝戦を見に行って、その会場で澤選手と実際に会って写真を撮らせてもらって、その時にすごく優しかった澤さんのことも覚えていますし、かっこいい澤さんも覚えています。そうやって私に夢を与えてくれた選手というのは間違いないですし、今も昔も憧れです」
日本サッカー界の偉大なレジェンドと不思議な縁を持つ川澄は「おそらく自分がこの先どれだけ努力しても澤選手は超えられない」と謙遜したが、澤の現役引退を機に新たな気持ちで来年のオリンピック出場やさらなるタイトル獲得を目指して戦っていく。
「澤さんが自分たちに教えてくれたこと、与えてくれたこと、澤選手と一緒にできた経験というのは自分自身にとってすごく大きな財産。それをしっかりとピッチの中で出し続けていくことが、澤さんがこういう選手だったということを周りに伝えていくためにも大事なので、使命感を持ってやっていきたい」
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