「2ステージ制とCSが成功したと、胸を張るつもりはありません」
村井チェアマンによるブリーフィングでは、「Jリーグに対する関心度の低下」が「スタジアム観戦者数の減少」を招き、リーグ全体の「収益悪化」する負のスパイラル状態に陥っていたJリーグが、2ステージ制およびチャンピオンシップの導入決定翌年の2014年度から再上昇に転じたと報告されている。
実際に2014年度は、13億円という当初の減収見込みを回避。最終的に約123億円の収入を得たことで、2015年度は約134億円の予算を組んだ。Jクラブへの分配金だけで予算が枯渇しかけていた状況から、育成やデジタル事業への投資へ回す資金を確保できるまでになったという。
2015年シーズンはJ2とJ3を合わせた総観客数が初めて1000万人を超え、NHK総合で生中継された12月5日のチャンピオンシップ第2戦は10.4%の視聴率を記録した。換算すれば約1000万人がサンフレッチェとガンバの手に汗握る死闘に魅入ったことになる。
もっとも、関心度調査への協力者のなかで「スタジアムへ足を運んだことがない」が大多数を占めた現実を前にして、村井チェアマンが胸中に抱いてきた危機感は消えていない。
「1000万人を越えた理由は大会方式とまったく関係のないところで、たとえばJ2やJ3のところで、おらが街のクラブを応援しようと思っている方々が毎年のように増えてきている感覚があります。
Jリーグが何かやったから成功した、とするはちょっと違うんじゃないかというのが、正直な思いではあります。2ステージ制とチャンピオンシップが成功しましたと、胸を張るつもりは毛頭ありません。
無関心層に対しては、同じ調査を日本代表チームでしたら、あるいは海外サッカーでもそうですけど、バーンと関心が増える可能性はありますよね。
無関心層において2ステージ制に対する賛成が少し増えた、あるいは(2ステージ制を)知らないという方が減ったことは、劇的なものではありませんけれども、2ステージ制とチャンピオンシップという一石を投じたことへの、ひとつの兆しだと私は思っています。
賛成に転じた方や今回は『知らない』と答えなかった方、あるいはテレビをご覧になった1000万人の方が、どうすればスタジアムへ来ていただけるのか。まだまだやるべきことがたくさんある、というのが正直な思いです」