Jリーグは投資価値を見出されていない
今年、おりしも東京都港区に本社を置く横浜ゴム株式会社が、イングランドの名門チェルシーとプレミアリーグ史上で2番目となる大型のスポンサー契約を結んだ。
チェルシーのトップとユースのユニフォームの胸に、5シーズンにわたって『YOKOHAMA TYRES』のロゴが踊る。その対価が日本円にして年間約73億6000万円、トータルで約368億円に達した巨額契約を念頭に置きながら、そのJクラブ幹部はこう続けている。
「日本企業は普通に(大金を)出せるんです。ただ、JリーグやJクラブは、それだけの価値があると見られていない。(責任企業からの)損失補填ではなく純粋な投資として、ユニフォームの胸の部分に10億円くらい入るチームがあってもおかしくない。
それが出てこないのは、日常生活のなかにサッカーが見えていないし、聞こえてこないからですよ。プロ野球が始まったら案の定、報道もプロ野球ばかりですよね。
いまの日本企業の経営者は野球世代が多いので、まずは彼らに『5%でも可能性があるのか』と思わせるような絵を描かないといけない。リターンが見込めなければ、企業は絶対に投資してくれない。
アメリカのMLSはそうした図式をしっかりと描き、あっという間にJリーグを追い抜いていったのに、日本の場合は『お金をください』とお願いする感じじゃないですか。それじゃあダメなんですよ。
早い段階から2ステージ制に賛成したのは、週に1試合のJリーグが優勝争いのヤマ場と露出を増やすことで、経営者に『サッカーっていいものじゃないか』と思わせるためです。
正しいのは1ステージ制であることはもちろんわかっているけれども、たとえばヨーロッパの5大リーグ以外が露出増や観客動員増へさまざまな策を講じているように、我々も少しでも関心を高めるための努力をしていかないといけない」