本田、アシストで同点弾を演出
「間違いなく最優秀選手の一人だったぞ。どうだ、私は彼が素晴らしい選手だと言い続けてきたんだ。あんなにチームのために努力を惜しまない選手をミランは残すべきなんだ。むしろ、ここまでの試合でなんでプレーさせなかったのか私には分かりかねるね」
民放TV『メディアセット』の名物ミラン番、カルロ・ペレガッティ記者はフロジノーネ戦で1アシストを記録し、他1得点の起点にもなった本田圭佑をここぞとばかりに褒めちぎっていた。ラツィオ戦では少ない時間で見せたガッツを高く評価し、そしてこの日の活躍に喜ぶ。彼が残した結果によって周囲の評価(我々も含む)が変わる中、常に一貫していたのはペレガッティ記者ぐらいなものだった。
それにしても、チームのために努力を惜しまないという姿勢がよくわかるパフォーマンスだった。よくカバーにも奔走し、走行距離ではチーム3番目の数値を叩き出している。そして何より、右アウトサイドのポジションをあてがわれながら、つなぎを大事にしてポゼッションを演出するという役割をきちんとこなしていた。
シニシャ・ミハイロビッチ監督は前日記者会見で「カルピ戦は攻撃に行く時のパスミスの多さが課題だった。ラストパスの精度や動きを向上させ、枠内シュート率をアップさせないといけない」と語っていた。その結果が、ウイングを使った最近のサッカーから開幕当初に試していたようなポゼッション志向への回帰で、本田はその役に立っていた。
イニャツィオ・アバーテが上がるスペースを空け、そこに味方が走りこめば流れたところからパスを出し合い攻撃を組み立てる。消極性の代名詞になってしまうバックパスも、プレッシャーの薄い場所へボールを確実に展開させる一助となって機能していた。
もっとも前半の終わりには、エリアの手前までボールを運びながらシュートまでチャレンジしないという普段のウイークポイントも露見していた。先制点も許して苦しい試合だったのだが、ミハイロビッチ監督は「内容は良いのでこのまま続けていこう」とハーフタイムに指示を出したという。