日頃のトレーニングで培ったフィジカルの充実
そしてそれは、ハイボールの競り合いも同様だった。後方からボールを呼び込み、自らがDFを背負って空中戦に挑む。そのままヘディングで勝てればよし、無理でも前線で潰れて味方にボールを拾わせる。この日も得点シーンの前に、そうしたプレーが2度あった。
サイドを駆け上がってボールを縦に運ぶプレーは、本田には難しい。しかしこういうプレーで、縦にボールを引き出すことは可能だ。このプレーが監督の指示によるものなのか、本人の起点の産物なのか、選手から話を聞くことができなかったので今回はわからない。ただ文字通り、周囲ともうまく絡めたプレーであったことは確かだ。
もう一つのポイントは、身体面でのパワーだ。DFのプレッシャーを背中に受けつつ、垂直にジャンプを繰り返して体を張るプレーは、当然ながらフィジカルが充実していないと難しい。クロトーネ戦は不振に終わり、試合出場はしばらくなかったが、その間も練習やフィジカルトレーニングを怠ってはいなかったということがわかる。
昨季は本田が2アシストを記録したローマ戦で、TV解説を務めていたロベルト・アダニ氏が「本田はパワー系の選手。フィジカルが充実していれば彼はいいプレーが出来る」と褒めていたのを思い出した。
持ち味を出すために必要な条件が日頃のトレーニングを通して培われているとしたら、もっといいプレーができ、今後の出場機会増につながるかも分からない。
「選手たちは誰も諦めておらず、闘志を示してくれた。この勝利は我々に自信を与えてくれるだろう」
会見でミハイロビッチ監督はそう語ったが。体を張った本田のプレーは、果たして指揮官の心にも響いていただろうか。
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