バルセロナで経験した、長過ぎる「4年目」
『ビルト』紙はペップの人間性に着目する。
「彼は新たな挑戦に刺激を受けるタイプの人間だ。だから2013年にバイエルンに向かった」
言い換えれば、バイエルンにやって来た理由が、またバイエルンを去る理由ということになる。
かつてFCバルセロナを率いた11/12シーズンは、バルサの監督としてペップが限界を感じたシーズンだった。リオネル・メッシを中心に据え、特化した戦術の限界、数多くの栄光を手にしてしまったが故の、選手たちのモチベーションと情熱の消耗…。
11年の10月には、ペップはバルサ会長のサンドロ・ロセイに辞意を伝えている。監督に就任して4年目のことだった。
つまり、バイエルンでの4年目は、バルサでの4年目を経験したペップにとっては、長過ぎるということになる。3年を超えると、新しい戦術で選手たちに刺激を与えてチームを進化させるには、限界が訪れる。挑戦はルーティンと化し、ある種のマンネリズムに陥ってしまう。
常に動き続ける人、それがペップ・グアルディオラなのだ。ペップの中でフットボールを巡る思考が止まることはない。『キッカー』誌は「あれこれ思い悩む人」と形容する。そして新たな刺激と挑戦の場を、いつもどこかに求め続けている。
バイエルンの選手たちも、何かを悟っているかのようである。
マヌエル・ノイアーは「緊張しているよ」と言う。「僕たちは彼の決断を待っているし、ことのなり行きを見守っている」
今季から加入したばかりのキングスリー・コマンは予言する。「ペップ・グアルディオラはまたどこか他の場所で彼の道を進むだろう」
ペップとの契約延長を望むルンメニゲも、フットボールの成り行きについて語った。「ある選手がやってきて、ある選手が去っていく。ある監督がやってきて、またある監督が、いつか去っていく。物事はどんどん先に進んで行くものだ」
『ビルト』紙は、次のようにも記している。「カリスマ的存在のグアルディオラが本当に去ってしまえば、ブンデスリーガにとって大きな損失となるだろう」
20日の“日曜日の会談”の行方が、バイエルンだけでなくブンデスリーガにとっても転換点となることは、間違いない。
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