本田のクラブ批判に似たベルトラッチの発言
しかしミランを、そしてミハイロビッチ監督を擁護する空気には全くなっていない。もっとも中盤が寸断される、攻撃の成立は個人の出来次第、そしてカルロス・バッカはDFのこぼれ球以外まともなボールにありつけないと、内容には批判材料が山ほどあるのもまた事実なのだが。
久しぶりに出場したアンドレア・ベルトラッチは、チームの不出来をクラブを取り巻く構造的な理由に求めている。具体的には、執拗な批判を繰り返し現場を萎縮させる地元メディアだ。
「ここでは健全な空気が吸えていない。何かをする度にメディアからの批判は執拗だ。4-3-3でプレーすれば4-4-2がいいと言い、4-4-2でプレーすれば他がいいと言う。こんな調子では無理だ。そんな環境でミハイロビッチ監督が落ち着いて仕事ができないというなら、自分たち選手にとってはなおさらだ」
似ていないだろうか。10月のナポリ戦後、本田圭佑が「再建にはマンCやパリSG並みに金を使うか、そうでなければストラクチャー(構造)の部分から見直すか」と語った例の発言である。
「各代表選手が集まっている集団が、なぜ与えられたポジションで生き生きとプレーできないのか。評価基準をファンから、メディアから、監督から、経営陣から全員が変えることができれば大きく再建につながるんじゃないかと思います」
ベルトラッチの発言からは話の規模が大きく、クラブ批判と解釈されて非難も浴びた。それ自体は致し方ない部分もあるが、現場の窮状を訴えた意味合いとしては同じところだ。
もっとも現場の人間が「構造」を口にしたところで、好意的な解釈はされない。むしろ、ピンときていないかもしれない。「本田に言われるまでもなくクラブの問題は我々が批判していた」という地元メディアも、金満補強に触れた以外の部分は都合よくスルーだ。
ベルトラッチの発言に対しても、ネットの反応では「で、メディアがシステムの批判をするから、お前ら選手はそんな体たらくを平気で晒すのか?」となる。