クラブを成長させた会長の経営戦略
インテルに0-3で敗戦したことは想定の範囲内だった。しかし、マゼンベはアフリカ初の同大会決勝に進んだチームとして祝福を受け、困難の中にある国に希望の光を照らしたと、カルテロン監督は認めている。
「今や、チームは(2010年大会よりも)大きなプレッシャーを抱えている。ひとたび偉業を成し遂げてしまうと、人々はそれがどれだけ難しかったのかを忘れてしまう。コンゴの人々はこう言うんだ、『(対戦相手は)バルセロナがいい!』とね。だが、そのためにはまずリーベル・プレートを倒さなければならない。一歩一歩、我々は足下を見て進むべきだ」
ここ最近クラブが成し遂げたことの多くは、モイセ・カトゥンビ会長によるものだといえる。同氏はビジネスマンであり、クラブのホームタウンであるルブンバシという街があるカタンガ州の知事を9月まで務めた政治家でもある。
地域の鉱石資源を元に集めた富によって、カトゥンビ会長はクラブに益をもたらしてきた。2011年には総工費3500万ドル(約42億円)で1万8000人収容のスタッド・TPマゼンベを建設するなど、フットボールに関係したソーシャル・プロジェクトを地域中に広めてきた。加えて、チームはアフリカで唯一の航空機を誇るクラブとなり、2機の飛行機によって国内外への遠征での疲労を軽減させている。
「カトゥンビ会長は(サハラ以南の)アフリカのフットボールに革命を起こした」とカルテロン監督は言う。「我々は国内の他のチームとは違う。2010年にクラブワールドカップ決勝へと進んだことで、(カトゥンビ会長がチームの財政状況について)深い理解を示してくれている」
「コンゴのフットボールは後退している。国にいい設備はない。だが、TPマゼンベはいわゆる例外なのだ」
【次ページ】マゼンベ、Jリーグ王者との対戦へ