チーム状況も考慮したゲームプランの構築
一方でこの日、デポルティボが対バルセロナ用に準備したゲームプランはそれらとは全く異なるものだった。
デポルティボはバルサにボールを持たれることは覚悟の上で、全員で中央を固め、チームの心臓ともいえるブスケツにマンマークを付けた。そうすることでバルサはボールを支配しながら決定的なチャンスを作り出せない展開となっていた。
そして、バルセロナが焦りを見せてどんどん前がかりになると、手薄となったバルサ陣地目掛けて素早い縦パスを入れてカウンターを狙った。
デポルティボは今季ここまで14試合で14失点と安定した守備力を持っているだけに、中央を固めることにも自信はあったのだろう。さらにバルサが2試合連続のドローだったことで2点を先制しても、さらなる追加点を欲したこともデポルティボにとって好都合だった。あるいは、ビクトル・サンチェス監督にとってはそれも計算の内だったのかもしれない。
相手のスタイルと自らのストロングポイントの相性をしっかりと見極め、さらに相手の置かれている状況からゲームプランを作り出し、選手はそれを冷静に高い集中力を持って実行する。以前にも記した通り、スペインの戦術的IQの高さを伺える一戦となった。
そして、日本で開催されるクラブW杯でバルセロナと対峙するチームにとっては、また1つ下馬評を覆すためのヒントが与えられる結果でもある。
前線からのプレスでバルサの最終ラインを混乱させるのか、中央を固めた上でブスケツを抑えてカウンターから最終ラインの混乱を狙うのか。自らのストロングポイントと合わせて、各チームがどのような戦い方を選ぶのかという点もクラブW杯の見どころとなるだろう。
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