アーセナルはなぜ負傷者が多いのか?
レスターの首位争いといい、チェルシーの下位低迷といい、予想外の多い今季プレミアリーグ前半戦にあって、誰も驚くことのない展開が1つ。アーセナルの故障者続出だ。
過去10年間の故障者発生件数がプレミア最多という不名誉な肩書きを持つチームは、1軍レギュラーに欠場者のいない週が1度もないまま12月を迎えている。その原因は、残念ながら不明。アーセン・ヴェンゲル監督をはじめとする当のアーセナル首脳陣でさえ、問題の核心に迫ることはできていないのだから。
巷には、憶測の域を出てはいないが諸説ある。最も注目を浴びているのは「ヴェンゲル原因説」だろう。代表的な提唱者は、オランダ人フィットネスコーチのレイモンド・フェルハイエン。啓蒙熱心なサッカー界フィットネス分野の御意見番は、ヴェンゲル体制下でのコンディション作りを「短期視点」に基づくものとみなし、その結果としてシーズン後半戦を迎える前から戦線離脱者が増えるチーム事情があると指摘している。
たしかに、アーセナルにありがちなパターンではある。しかし特有というわけではない。11、12月ともなれば、週末のリーグ戦の他、欧州ではグループステージ突破、国内ではリーグカップ4強入りを意識した心身両面で疲労度の高い試合を平日にこなすことになる。
12月後半には、“ウィンター・ブレイク”どころか逆に試合数が増える過密日程が待ち受けてもいる。アーセナルの選手でなくとも、披露が蓄積し始めた体が悲鳴を上げても不思議ではない状態であるはずだ。
主力の戦線復帰を焦りすぎるというヴェンゲル批判もある。言うまでもなく、本人は「100%の状態ではない選手に出場を強いることなどあり得ない」と、真っ向否定。復帰課程にある選手のコンディションは、近代的な設備を誇るトレーニングセンターで仕事に当たるコーチ陣と医療スタッフが、練習中の動きまでGBPシステムで逐一記録しながら入念にモニターしているとも言っている。