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アジア 9年前

サッカーは誰のものか? サポーターを敵に回した連盟とAリーグ。豪州は“内戦状態”

text by 植松久隆 photo by Taka Uematsu , Getty Images

ボイコット等で抗議活動を繰り広げるサポーターたち

一つの新聞記事がもたらした危機。サポーターを敵に回した豪州連盟とAリーグ
WSWサポーターが退席し、スタジアムの一角が空席となった【写真:Getty Images】

 このようなFFAやAリーグの態度に、ファンは強い不信感を抱くに至る。その思いは、何もファンに限ったことではない。サッカーメディアの多くもそうだった。前述のようにサッカーメディアの多くが記事に反対する論陣を張ったにもかかわらず、サッカー界のために一番動かねばならないFFAは動かない。

 サッカー界に失望の連鎖が広まり、痺れを切らせたファン/サポーターは、試合応援のボイコットという実力行使に打って出る。

 11月28日のメルボルンV対アデレード戦では、約1000人のメルボルンVサポーターが前半30分でスタンドを後にするウォークアウトにより抗議の意思を表明。敵サポーターも含めて多くの観衆が、立ち去るサポーターを拍手で見送った。

 そして、翌29日のセントラル・コースト対WSW戦でも、さらに多くの抗議活動が繰り広げられるに至った。

 WSWの最大のサポーター団体レッド・アンド・ブラック・ブロック(RBB)は「FFAよ、知らんぷりをするな。こっちの要求は伝えてあるはずだ!」の横断幕を残して、前半30分で一斉に退席。セントラル・コーストのサポーターも、退場はしないまでも「FFAのように沈黙中。ファンあってのフットボール」との横断幕を掲げて、応援を拒否。スタジアム名物となっているブラスバンドの演奏もこの日は聞かれなかった。

「ファンを守ろうとしない、サッカーを守ろうとしない」という印象をファンに与えてしまったFFAは、急速にサッカーファンの信頼を失った。既存のサッカーファンは、サッカー自体への愛は失わずとも、Aリーグや自国の代表への強い気持ちを捨ててしまうかもしれない。FFAの当事者意識の低さは致命的だ。

 Aリーグチェアマンのダミアン・デブーンは、29日の試合後に元代表ゴールキーパーで現在FOXスポーツのコメンテーターを務めるマーク・ボスニッチから熱い訴えを受ける。それに対してデブーンは、非常に官僚的かつ真剣味に欠ける対応に終始して、ファンに悪印象を与えてしまった。

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