サッカーファンを失望させた連盟とAリーグの対応
そのジョーンズが、自分の人気番組に記事を執筆したウィルソンを招いてサッカー批判をひとしきり行ったものだから、多くのサッカーファンは憤慨した。その後もジョーンズの“口撃”はとどまることを知らない。
ウィルソンにソーシャルメディア上で殺害予告が届いたことを取り上げ、サッカー批判をひとくさり。しかもこのジョーンズ、違反者リストの漏洩元と疑われるSCTの理事会に名前を連ねている。
そんな事情もあって、この時点でのファン/サポーターの怒りの矛先は、ウィルソン、ジョーンズ両名、そして、リストをリークした疑いをもたれているSCTに代表される、サッカーに不利益を与えようとする勢力、サポーターの粗暴行為を厳しく取り締まったことでシドニー両クラブ(シドニーFCとWSW)のサポーターに忌み嫌われているニューサウスウェールズ(NSW)州警察などに向けられたのだ。
サッカー界への批判に対して、サッカー界の主要な論客として知られる元代表選手のクレイグ・フォスターが公開書簡で反論した。それを嚆矢に、フットボールコメンテーターやジャーナリストなどのフットボールメディア関係者が、ファンやサポーターを擁護しつつ、言われなき言いがかりに対して声を上げていった。
198人のリストの大半を占めるWSWとシドニーFC両クラブのサポーターグループはもちろんのこと、当該サポーターを抱えるクラブも自チームのサポーターを擁護する立場を明確にした。それは、「スタジアムでの暴力や粗暴な言動を擁護するつもりはないが、今回のサポーターに対する仕打ちは到底受け入れられない」という立場に立ったものだ。
しかし、サッカー界を代表してもっとも声を上げなければならないところから声が上がらない。そのことが、大いにファンをがっかりさせた。この問題の直接的な当事者Aリーグ、そしてその勧進元のFFAは、25日付にFFAのデービッド・ギャロップCEO名義で声明を発表した以外は、何ら表立ったアクションを行わなかった。その声明も、先のウィルソンの記事に対しての抗議を行わず、ファンの写真や氏名が公開されたことを問題視する内容が含まれておらず、決して実効性のあるものではなかった。