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Jリーグ 9年前

サンフレッチェが遂げたCS優勝。21年の時を超えて乗り越えた重圧、広島の夜空に沸いた紫の歓喜

text by 竹島史雄 photo by Getty Images

ファイナルの地に集う両サポーター

サンフレッチェが遂げたCS優勝。21年の時を超えて乗り越えた重圧、広島の夜空に沸いた紫の歓喜
ホームに駆け付けた大勢の広島サポーター【写真:Getty Images】

 緩衝帯を準備して着席を確保する運営の配慮する現在の基本で、これまでは11月22日のセカンドステージ優勝を決めた湘南戦での33,210人。3万5千人を超える動員はこのスタジアムでは限界値。公表50,000人のスタジアムだが、事実上のフルハウスと言っていい。

 日常であれば、広域公園へは広島市郊外の中心地からタクシーで20分。自家用車なら駐車場に止めることを考えて30分強。公共交通手段ならスタジアム正面まで1時間ほどかかる。日常であれば、である。

 だが、造成期の1990年代初頭とは違い、広大な住宅地が完成して同時期に開校した小・中学校、郊外型の大きなショッピングモールを備え、市民の生活街を形成している。

 また近隣に二つの高速道路インターチェンジを有し、物流の拠点でもある。だが、郊外インターチェンジであり、ETC通過レーンは1本か2本程度に過ぎない。道路は上下2車線、大学も2つある。日常生活で人と車が動く夕方に、平日会社帰りの動員。広島広域公園で水曜日開催なら果たしてここまでのチケット前売りを呼び込めたであろうか。土曜日開催は、広島にとって年間勝ち点1位のメリットを十二分に受ける決勝の日だった。

 広域公園の地理、交通アクセスを熟知する広島市民の出足は早かった。朝から集い、午後にはキックオフ5時間以上前にも関わらず、スタジアム周辺の広域公園広場はJリーグファイナルを戦うJクラブ52分の2を誇る紫の広島サポーターと、周到な準備で広島に来た青と黒のガンバ大阪サポーターで埋め尽くした。

 寒い広島市郊外で自由席の待機列となった隣接する補助競技場のトラックでは、手を寄り添って暖をとるカップルや、興奮を抑えれきれない少年少女、早くも祝杯で景気上がった青年グループが300メートルの弧を描いて待機した。

 ガンバ大阪のサポーターは、大逆転の決意と期待をにじませながら、広島の日常のJリーグ開催と違う祭りの場に足を運んでくれた。

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