アウェイで3-2勝利もまだ半分
1プレー、1つのボールがこぼれる方向がゲーム運びを左右する。チャンピオンシップの戦いは激しく、重い。1つのゴールは、すべて勝負につながる意味があった。17,000人強の万博競技場で、紫のサポーター2,500人は落胆と歓喜の絶叫を交互に起こした。
先制はガンバ大阪。広島のディフェンスラインでの“何でもない”ミスがまさかの決勝で起きる。痛恨と呼ぶには軽すぎるほど、重く心にのしかかる失点。のはずだったが、年間勝ち点1位の意地と誇りと自信か。サンフレッチェは、攻撃の重心を一気に変えることなく、いつものペースで戦い続ける。
森崎和幸が代弁した「90分、プラスアルファで勝てればいい」という思いで、不測の事態にバラバラにならなったチーム。
両チーム5本のネットインの末、サンフレッチェは3本のアウェイゴールを奪って3-2。まず勝利を得た。アディショナルタイムに2つのゴールで逆転は、Jリーグの歴史に残る激闘。ガンバ大阪は万博記念場を卒業して、2016年は新スタジアムへ戦いの場を移す万博の卒業式であり旅立ちの日だった。
それは同時に21年の時を超えた、サンフレッチェ広島チャンピオンシップ初勝利。だがまだ半分だった。
折り返しの第2戦は年間1位のホームで開催された。2015明治安田生命Jリーグチャンピオンシップ、まさに2015年のJリーグのファイナルは広島市の郊外地域にある、1994年アジア大会を機に造成された4つの競技場と1つのテニスコートを併設する広域公園のメインスタンド、エディオンスタジアム広島のネーミングライツを有する国際規格の陸上競技場である。広域公園ゆえに多くが集えるから前日から乗り込む姿もあった。
かつては山だった地域を切り開いた広島市郊外の広域公園は、冬の夜にぐっと冷え込む。危険をとしての前日からの乗り込みだった。
第2戦は土曜日開催。前日までに入場券は地元紙発表で36,288枚を発券して完売。痛惜の94年チャンピオンシップ以来、21年の時を超えた3万5千人以上の動員である。