追い打ちとなった“唾吐き”事件
ベンゼマによれば、ディディエ・デシャン監督は彼をサポートしてくれているといい、来年のユーロ本戦までに法的に無実さえ証明されていれば、招集に問題はない。
恐喝の件に関しては、ベンゼマが「白」であることはまず間違いないから、時間との戦いともいえる。ただこのようなスキャンダルに、“加害者”として巻き込まれたベンゼマを代表に選出することに対し、モラル的に反発する声は挙がるかもしれない。
先日のバルセロナとのクラシコでも、テロの犠牲者に捧げた『ラ・マルセイエーズ』の演奏中につばを吐いていたシーンがカメラに抜かれ、「侮辱行為」とベンゼマは叩かれた。
日頃から国歌を斉唱しないことでも批判されている彼を「非国民」という目で見る人も少なくない。
12月5日のサッカー番組『TELEFOOT』では、ベンゼマのインタビュー後半が放送され、ここでは、彼がフランス代表に賭ける思いや、ユーロに出たいと願う気持ちが語られていた。また「フランス代表にとっても自分は必要だと思う」というエースとしての自信ものぞかせていた。
国歌斉唱の件についても「それぞれのやり方がある。自分にとって国歌斉唱は完全に集中して、代表として戦うことの誇りを静かに噛み締めている特別な瞬間だ。でももし義務だと言われるなら、もちろん歌うことはかまわない」と自分の考えを打ち明けた。
「唾吐き」の件については、番組にゲストとして招かれていたシセも「くだらない」と一蹴し、「たまたま咳き込んだんだかなんだか。その瞬間を捕らえていたカメラが、あえて問題を醸すような報じ方をした」とベンゼマを庇った。
同じく元フランス代表DFのフランク・ルブフも、「残念ながら、フランスにはまだ一部でレイシズムの思想がある。カリムやナスリ、ベナルファたちの行動については、どうも他の人以上に問題視されている気がしてならない」と勇敢な意見を口にした。