“友人”に会うことを勧めたことが逆効果に?
そうして数ヶ月が経った10月4日、警察との報告会の際、唐突に「誰かがこの件についてあなたに何か言ってくるかもしれませんが、びっくりしないように」と釘を刺された。
ヴァルブエナが驚いたことに、その直後の代表合宿でそれが現実となった。僚友ベンゼマが、この件を持ち出してきたのだ。
ベンゼマは「リヨンに子供の頃からのダチがいる。ヤツに任せれば心配ない。すべて解決してくれる。彼に会ってこい」とヴァルブエナに執拗に勧めたという。
そのとき具体的な金銭の話は一切出なかったが、ヴァルブエナは誰かに会いに行って面倒なことを片付けてもらう以上、手ぶらで済むわけはない、と感じた。「自分だってそこまで幼稚ではない」とインタビューで話している。
ベンゼマは穏やかな口調だったというが、「家族のこともあるし、やっかいなことは片付けたほうがいい」としきりにこの“友人”に会うことにこだわっていたのが「逆に不信に思えた」とも述懐している。
そしてヴァルブエナは断言した。「“金を払わないわけにはいかないだろう”とベンゼマに言われている気になった」と。
この独白を受けてベンゼマの立場は一気に悪い方へと傾いた。
『ベンゼマのフランス代表キャリアは「81」で終わった』とメディアは報じ、それを受けるかのようにヴァルス首相が12月1日、ラジオ局『Europe1』とのインタビューで「手本になるにふさわしくない者はフランス代表に選ばれるべきではない」とコメント。これが、さらにベンゼマのフランス代表追放を後押しする形になってしまった。
このダブルパンチに、さすがに自己防衛の必要を感じたのだろう。ベンゼマは『TF1』の取材に応じ、翌日のニュース番組内でインタビューの模様が放送された。そこでベンゼマは「穏便に事を片付けるために友だちを紹介する、と言っただけ。金など一切要求していない。自分は潔白」ときっぱり主張した。