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Jリーグ 9年前

C大阪に生まれた“開き直り”。「生きるか死ぬか」で挑む運命の一戦

text by 藤江直人 photo by Getty Images

昇格には勝利が必須となる大一番

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シーズン10得点でチーム得点王の玉田圭司【写真:Getty Images】

 決勝の相手はアビスパ福岡。J2を怒涛の8連勝、チーム記録を更新する12試合連続の負けなしでフィニッシュ。得失点差でジュビロ磐田に及ばす、J1への自動昇格を逃したものの、終盤戦で発揮された無類の強さはV・ファーレン長崎を1対0で下した準決勝でも健在だった。

 リーグ戦における対戦成績はセレッソの2戦2敗。ともに0対1のスコアながら、攻守両面で差を痛感させられた。しかし、当時のセレッソに巣食っていた精神的な迷いは、いまは払拭されている。

「いまの福岡の戦績やスコアを見てもわかるように、1点を先に取られれば(勝つ可能性が)可能性がほぼなくなる。それくらい調子のいいチームなので、90分間で1点を取る手堅いゲームになると思う。攻守両面でセットプレーが大事になる。しっかり守って、チャンスで確実に決めることが大事になる」

 茂庭が勝利の方程式を明かせば、田代は決勝の会場がヤンマースタジアム長居となっている「偶然」を追い風としたいと意気込む。

「ホームのような雰囲気でできると思うので、サポーターの後押しを受けて絶対に勝ちたい」

 サッカーファンから批判の的となっている決勝の会場選定だが、セレッソの選手たちに何ら罪はない。サポーターの大声援は、アビスパのプレッシャーを耐え、はね返す「何苦楚魂」の源泉になる。

 準決勝と異なる点は、愛媛戦に続く引き分けでは規定によりJ1切符を手にできないこと。FWウェリントンを中心としたアビスパの猛攻を封じ込め、そのうえでゴールをむしり取る。

「最後はやはり自分が決めたいよね。そういう意識を、より強くもっていきたい」

 フォルランと並ぶチームトップの10ゴールをあげながら、9月13日の栃木SC戦から不発が続いている玉田は、下馬評を覆す勝利を導く立役者となる光景を思い浮かべる。

 勢いがまったく衰えないアビスパか。あるいは、失うものは何もないと意気込むセレッソか。J1に昇格する最後の1席をかけた注目の激突は、6日午後3時35分にキックオフを迎える。

【了】

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