ベンダーが本職ではないポジションで切り開いた新たな世界
4ヶ月前のことだ。2015年8月1日に行われたレアル・ベティスとの練習試合の後で、ボルシア・ドルトムントに所属するスヴェン・ベンダーは「もちろん希望のポジションではないね」と言葉を残した。
暑い夏のヴッパータールで、ベンダーはマティアス・ギンターとコンビを組んでCBのポジションに入る。そのまま90分間フル出場した。
「僕はその希望のポジション(ボランチ)でプレーしたいという要求を持っている」
3日付の『キッカー』誌は、ベンダーのことを「ボール奪取のモンスター」と形容する。昨季はクロップ体制で、主に[6番](=ボランチ)のポジションでプレーした。何よりベンダー本人が[6番]を得意とすると考えているようだ。
「依然として僕は自分のことを6番だと思う。本当に、実によくね。だけど僕らがプレーするようなCBのポジションでもまた、僕は職務を果たすことができる。プレーすれば、嬉しく思うよ」
11月29日に行われたブンデスリーガの第14節シュトゥットガルト戦で、ベンダーはCBに入って90分間フル出場した。CBでプレーするのは、今季では5度目のことだ。
26日のヨーロッパリーグ、クラスノダール戦でもCBに入っている。しかし序盤にポジショニングで戸惑い、敵のPK奪取に繋がってしまう。翻ってシュトゥットガルト戦では安定したプレーを見せて、4-1の勝利に貢献する。14分にはカウンターに粘り強く対応するなど、CBらしくプレーした。
ベンダーはCBのポジションに、新たな境地を見出しつつあるようだ。ミヒャエル・ツォルクSDは「彼はどのポジションでもプレーできる」と信頼を寄せている。
しかしベンダーが[6番]の選手であると、一体誰が決めるのだろうか。フットボールにおけるポジションという概念はあやふやなものだ。向いている/向いていないは紙一重で、それはつまり“本職”は存在しないと言い換えられるのかもしれない。