本田が犯した“落ち度”とは?
クロトーネが堅い守備を敷いてきたことも、また本田の苦労を際立たせることになった。イバン・ユリッチ監督は、師匠であるジェノアのジャンピエロ・ガスペリーニ監督にならい、マンマーク主体の守備でミランの攻撃陣を抑えにかかった。したがって本田が動く先々にはサイドバックが張り付き、スペースは常に消され、前も向かせてもらえなかった。
「自分の力を見せるチャンスを彼には与えた。そして良く頑張ってはいたのだが、成功はしなかった」
シニシャ・ミハイロビッチ監督は試合後の記者会見でそう語った。ゴール前でのインパクトの物足りなさを理由にこれまで本田を先発から外していたが、その認識を改めさせるプレーはできなかったということになる。打開ができなければ、序列としては「(アレッシオ・)チェルチの次」という評価に収まってしまうのである。
さらに拙攻の結果、温存したかったジャコモ・ボナベントゥーラやエムバイエ・ニアンをひっぱり出さざるを得なくなる。敵将のユリッチ監督も「彼らの投入でミランのクオリティは著しく上がった」と評価。裏を返せば、本田らこの日の先発組は要求を満たせなかったということだ。
「長いこと試合に出ていないものもいた。もう少しチャンスを与えなければコンディションに響く。私の責任だ」とミハイロビッチ監督は語った。チャンスをもらいながら指揮官にそう思わせてしまったことに、この日の本田の落ち度があった。
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