テクニックの高さではないスペインサッカーの特徴とは
下位のチームは当然、守備を重視したプランで臨むが、それはただ自陣に引きこもるのではなく、マドリーでもバルサでもしっかりと弱点を分析して試合ごとに戦い方を変えている。
例えば、簡単に挙げるとバルセロナを相手にする場合には高い位置からDFラインにプレッシャーをかける。マドリーを相手にする場合は中盤と前線を切り離すようにボールの出し手であるモドリッチやクロースにプレッシャーをかける。
プレミアリーグやセリエA、ブンデスリーガ、そしてJリーグと比べても格段に戦術の幅が広く、その“IQレベル”は高いといえる。日本人選手が活躍できない理由は、タイプや相性ではなく単純にこのリーグでプレーするレベルの選手がいないということだろう。
特に、まだまだ戦術的IQが低い日本サッカーがスペインサッカーを模倣することは何よりも至難と考えられる。
そして、そういった優れた戦術にさらに自らのストロングポイントを加えていく。それこそが特徴として語られる技術力であり、先発起用された乾に期待されている部分だと考えられる。
しかし、乾はここまで0ゴール1アシストと結果を残せているとは言い難い。さらに詳しくスタッツを見ても、生み出したチャンスはわずか5回、1対1を仕掛けた数も9回と十分ではない。
今回のレアル・マドリー戦では3本のシュートを放つも、チャンスメイクはわずか1回、1対1は2度仕掛けたものの勝利は0に終わった。ここまで乾は、オプタのデータによる「パフォーマンス・スコア」(攻撃、守備、ポゼッションでの採点)でも-59とチームワースト3の評価となっている。
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