終盤プレーの本田、新システム導入に感じた恩恵
「うまく行きすぎた部分はあるかもしれない。ただ、今日のような試合が今後もできれば、多くの試合で勝てると思う」
サンプドリア戦後、シニシャ・ミハイロビッチ監督は試合をそのように総括した。サンプは成績不振とチームマネジメントの混乱からワルテル・ゼンガ監督を解任したばかりで、チーム状態は正直良くなかった。それでも、チームは今季一番の機能性を見せていたことは否定しようがない。
4-4-2という新システムがはまった。両サイドのウイングを使った仕掛けはそのままに、前線の枚数を増す。カルロス・バッカのパートナーには、ウイングとして活躍していたエムバイエ・ニアンを抜擢した。昨季彼はレンタル先のジェノアでCFとしても起用され、力を伸ばしている。
その彼を一方のサイドに押し込めるのではなく、前線で臨機応変に動かし、セカンドトップ的にチャンスを作らせた。これまでの3トップだと、ウイングが突破するだけになり前線に幅がでない。ニアンが2トップの一角として使われたことで、前線にはこの数試合で失われていた連動性が生まれていた。
一方、本田圭佑はまたしても試合終盤の途中出場となった。システム変更になっても急に本田の序列が上がるわけではなかった。だが、このシステム変更は彼にも恩恵をもたらすかもしれない。13分間のプレーには、そうポジティブに考えさせるような要素もあった。
例を挙げれば、本田があわやゴールをアシストしかけた後半40分のプレー。本田はその前に相手のDFにプレスを掛けてボールロストを誘っているが、ボールを拾ったのはニアンに代わって途中出場していたルイス・アドリアーノ。互いが近い距離を保っていたため、スペースへ飛び出した本田にはすぐにパスが出てきた。
つまり2トップになることで、サイドの選手も連係がとりやすくなったということだ。