決勝ゴールを喜ぶ藤春廣輝【写真:ダン・オロウィッツ】
【浦和レッズ 1-3 ガンバ大阪 JリーグCS準決勝】
明治安田生命J1リーグのチャンピオンシップ準決勝が28日に行われ、1stステージ優勝の浦和レッズと年間総合3位のガンバ大阪が激突した。
ホームの浦和は攻撃の中心だった興梠慎三を首の痛みで欠き、最前線には李忠成が先発出場。G大阪は守備の要である岩下敬輔が欠場しているため、丹羽大輝と西野貴治がCBでコンビを組んだ。そして柏木陽介と遠藤保仁、両チーム司令塔対決にも注目が集まる。
試合は序盤から浦和がボールを動かしながら攻めの機会をうかがい、G大阪は奪ってカウンターという構図がはっきりと見て取れる展開になる。両チームとも激しく相手にぶつかっていき、開始3分でG大阪の阿部浩之がイエローカードをもらうなど気持ちの入ったゲームになった。
最初のビッグチャンスは浦和に生まれた。14分、CKのこぼれ球を梅崎司がダイレクトボレーで叩き、地面に跳ね返ったボールを阿部勇樹が頭でコースを変えてゴールを狙うが、枠のわずか左に外れて得点とはならない。
危機一髪で失点を免れたG大阪もカウンターから好機を作り出す。18分、パトリックの中央突破からパスを受けた阿部浩之が右足を振り抜いたボールは浦和ゴールの左ポストに当たって外へ逸れていった。
その後も積極的な姿勢でゴールに迫る両チームだったが、前半は得点を奪えずスコアレスで折り返した。
後半に入ると、いきなり試合が動く。48分、左サイドでボールを奪った大森晃太郎が中央へ折り返すと、フリーでペナルティエリアに侵入していた今野泰幸が受けて冷静にフィニッシュ。アウェイのG大阪が先制点を手にした。
思わぬ形でプランを崩された浦和は直後の49分、槙野智章がオーバーラップを仕掛けてペナルティエリアまで駆け上がり、ラストパスをゴール正面から梅崎が左足でシュートを放つ。これはGK東口順昭のファインセーブに遭ったが、浦和も得点の匂いを感じさせるプレーを見せた。
先制したG大阪が勢いを増し、いいリズムを失った浦和は63分に2枚替えで勝負に出る。梅崎司を下げて今季G大阪戦2試合連続ゴールのズラタン、負傷明けの那須大亮に代えて青木拓矢を投入して攻撃への比重を高めた。
するとその策がさっそくスコアに現れる。72分、関根貴大が粘って獲得したCKを柏木陽介が蹴り、森脇良太が頭で合わせる。これはクロスバーに阻まれたが、こぼれ球をズラタンがヘディングで押し込み、ついに浦和が同点に追いついた。
直前に宇佐美貴史をベンチに下げていたG大阪にとってはあまりに痛い失点。一方ズラタンは同カード3試合連続のゴールで“ガンバキラー”ぶりを見せつけた。
終盤になっても両チームが激しく打ち合いを演じ、後半アディショナルタイムには関根貴大が右サイドをえぐって折り返しにズラタンが突っ込む。しかしGK東口の体を張ったセーブに阻まれてしまった。
さらに94分、浦和はサイドの幅を大きく使った攻撃で右サイドから森脇良太がクロスを上げ、ファーサイドにいた武藤雄樹がヘディングシュート。だが、これもスーパーセーブ連発の東口がセーブしゴールを割らせず。両チームとも90分で勝負を決められず延長戦に突入する。
延長戦も終盤に差し掛かり、PK戦にもつれるかと思われた118分、劇的な形で勝負が決まる。丹羽大輝のバックパスミスであわや失点かと思われた直後、カウンターで右サイドを駆け上がり、米倉恒貴のクロスにファーサイドの藤春廣輝が右足ボレーで合わせて勝ち越しゴールを奪った。そして121分にはパトリックがダメ押し点を決めて勝負あり。
劣勢に立たされながらもGK東口順昭の活躍で踏ん張り、最後の最後で藤春廣輝がチームを救った。1-3でサンフレッチェ広島の待つ決勝進出を決めたG大阪は来月2日にホームで第1戦を、同5日にアウェイで第2戦に臨む。
【得点者】
47分 0-1 今野泰幸(G大阪)
72分 1-1 ズラタン(浦和)
118分 1-2 藤春廣輝(G大阪)
121分 1-3 パトリック(G大阪)
【了】