結果は“パラドックス”。幸運は訪れず…
そうしたクラスノダールに対して、ドルトムントは攻めあぐねた。ギュンドアンを中心にボールを回し、ワントップのラモスを軸に反撃したが、ゴールを奪えない。GKディカンが好セーブを魅せる。44分、ピシュチェクの右からのクロスにラモスがダイビングヘッド。左手で弾く。59分、再びピシュチェクのクロスにラモスがヘッド。両手で弾く。
また74分には、シュメルツァーの折り返しを、ムヒタリヤンがシュートを打ったが、左のポストに嫌われた。BVBは何度か決定機を作り出したが、最後までゴールを割ることは出来なかった。0-1で敗北を喫する。
もっとも、BVBは既に決勝トーナメントの進出を決めているので、大勢に影響はない。他方で、クラスノダールのグループ突破が決まった。結果について、監督トゥヘルは次のように捉えている。
「この結果はパラドックスだ。試合に勝つためには、人は幸運を必要とするということを私は知っている。今日見たように、幸運だけで人は勝つことができるということもね。そのことを我々は受け入れなければならない」
結局のところ、対クラスノダール戦の敗北は、開始間もないベンダーのクリアボールに対するカボレのポジショニングによって決したのかもしれない。カボレが拾うことができたボールは、長すぎず短すぎず丁度良かった。転がり込んで来た「幸運」をクラスノダールはモノにした。
もちろん守備の仕方を見ても、クラスノダールがBVBに対して戦略を立てて挑んで来たことは確かだ。しかし、ポストが弾いた74分のムヒタリヤンのシュートだけでなく、7分のラモスのループも、無人のゴールに吸い込まれるはずだったがクロスバーに阻まれた。「幸運」はクラスノダールに傾き続け、BVBは不運に見舞われ続けた。
何度も決定機を作ったことを考えれば、メンバーが入れ替わってのBVBの連携は深まってきていると言えるだろう。ラモスのループが決まっていれば、試合展開も違っていたかもしれない。しかし決まらなかった。なぜか。
幸運/不運がフットボールを決定付ける要素であることを示した、クラスノダールでの敗北だった。
【了】