世界的に活発化するサッカーへの投資
過去のシーズンにおいて、佐藤寿人が川崎フロンターレ戦で決めたゴールがプスカシュ賞にノミネートされたことがあった。ほんの短い動画が世界に流れ、同時にそれは広島におけるサッカーの現実を示すこととなった。
サンフレッチェのサッカーにおけるファンタスティックな瞬間が動画に収められていた傍らで、哀しきかな、コンクリートでできた前世紀の遺物ともいえるスタジアムの古くてガラガラなスタンドが背景に映っていたのだ。
しかしながら、21世紀に入ってサッカーは国際的な現象となり、スポーツやコミュニティーはもちろん、ビジネスや政治までも巻き込むようになった。著名人や富豪など(時にはカタールのような国家でさえ)も資本を動かしてサッカーに投資し、自身のイメージ促進に用いているのだ。
サンフレッチェのおかげで、広島は世界にその存在を示す巨大なチャンスを得ている。今回は1945年の時よりもずっとポジティブな理由で、だ。
率直に言うと、広島市議会と地元スポンサー企業がクラブと距離をとってサポートを行わず、世界的スケールから見た広島のイメージアップを図る機会としてサッカーを、そしてサンフレッチェを捉えていないという事実は、国際的な観点を持つオブザーバーの目からすれば、肩を落とさざるを得ない。
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