愛犬に「ゴン」。佐藤が抱いてきた憧憬の思い
3匹いる愛犬ミニチュアダックスフントの一番上を、佐藤が「ゴン」と命名しているのは有名な話だ。あらためて説明するまでもなく、「ゴン」とは筑波大学時代につけられ、いまも市民権を得ている中山のニックネームだ。
けがを恐れない中山のプレースタイルに胸を打たれ、170cm、71kgのサイズで弱肉強食の世界を生き抜いていく覚悟を心身に刻み込むために、愛犬に中山のニックネームを頂戴した。
中山に抱いてきた憧憬の思いは、いまも変わらない。通算ゴール数では並んでも、眩しい背中に追いついたとは思っていない。
「(大久保)嘉人が真後ろに来ているので、すぐに僕を追い抜いていきますよ。僕にとっては来シーズンの1発目が新記録になりますけど、その前にチャンピオンシップで、かつて中山さんが大活躍していたころの輝きを見せられればと思います」
中山と直接言葉は交わしていないが、バトンを受け取ったという思いはある。無我夢中で突っ走ってきたなかで、次の世代、あるいは未来を担う子どもたちに託したいという願いも抱いている。
中山やカズ(横浜FC)に憧れたのは、常にゴールを決めていたことだけが理由ではない。フェアプレーを貫き通したプレースタイルが、佐藤には眩しく映った。
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