FC岐阜の選手たち【写真:Getty Images】
J2のFC岐阜は23日、恩田聖敬社長が今季限りで退任すると発表した。
治療方法が見つかっていない難病「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」に冒されていることを公表しながら社長業を続けてきた恩田氏だが、最近では車いす生活になり、日常生活や職員のコミュニケーションにも介助が必要になっていたという。
それにより「リアルタイムでの意思判断、スピーディーな意思決定、トップセールスを含めた交渉、そして、何よりクラブの理念を語ること」といった社長に求められる仕事をこなせないことから退任を決断したと説明している。
しかし、岐阜の社長としてクラブ運営に尽力した2年間はかけがえのないものになったようだ。恩田社長は「私は、これまでの仕事をしてきた人生の中で、初めて天職と言える仕事に出会いました。もっと、多くのお客様を笑顔にしたいと思いましたし、もっとサポーターやスポンサーの皆様の応援に応えたかったです。私が今年一年頂いた励ましを、ちゃんとFC岐阜を通じてお返ししたかったです」と道半ばで諦めなければならない悔しさを述べている。
岐阜はJ1ライセンスを手に入れ、来季からスタジアムや練習場などの環境も徐々にアップグレードされていく。こうしてクラブの規模が拡大していけるのはファン・サポーターのおかげだと恩田社長は考えている。
そして「今年一年で一番成長したのは、チームでもクラブでもなく、皆様の応援でした。一緒にどん底を見て、一緒に這い上がってくれて、本当にありがとうございます」と感謝の気持ちを惜しまない。
次期社長は来年4月の株主総会で正式に決定する。「FC岐阜が岐阜にとって、無くてはならないクラブになること」という恩田社長の夢は将来に向けて受け継がれた。今季は苦しい1年だったが、来季以降の岐阜は新たな体制で頂点を目指す戦いに臨む。
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