中澤が語るJリーグの現在地。2016年を未来への第一歩に
話をJリーグに戻すと、若手の台頭が少ないことをベテランたちはひしひしと感じている。中澤佑二は自身がJ1通算500試合出場を達成した試合後に口にした言葉はリーグの現状を端的に表していた。
「Jリーグは若手が海外に出ていっちゃって、どうしてもベテランが頑張らなきゃいけないリーグになってきている。だからこそ(ベテランが)頑張るだけじゃなくていいプレーをしなきゃいけないというのもあるし、若手選手たちのいいお手本、Jリーグで頑張っていればこれくらいのところまでいけるよっていうのを見せられればと思う」
確かに今季はベテランの活躍が目立った。リーグ戦で出場機会の少ない選手たちに試合経験を積ませるために設けられた「JリーグU-22選抜」も失敗に終わった。J3とはいえ、招集される選手は毎回違い、急ごしらえのチームでも呼ばれればほぼ確実に出場できるチームに本来あるべき競争はない。
若い選手がどんどん自分をアピールして台頭してこなければ、リーグは活性化しない。これまでと同じ選手たちで、同じようにやっていては今以上の成長は見込めないだろう。今年話題になったのは宇佐美の得点王争いや、南野拓実の海外移籍、遠藤のA代表招集くらい。若手に関して大きなトピックは少なかった。
そんな1年を経て20歳前後の選手たちは何を思うのか。アデミウソンという“世界標準”を見せつけられて何を思うのか。
アデミウソンはいつ何を聞いても非常に謙虚だ。スーパーゴールを決めても、異次元のアシストを決めても、返ってくる言葉は「自分にはまだまだ足りないところが多い。もっと努力して成長していきたい」と上を目指す意欲に満ちあふれている。日本の若手選手たちに彼を超えるような貪欲さはあるだろうか。
来年は五輪だけでなく、A代表のW杯予選も重要な局面を迎える。1年中ワクワクできるJリーグを実現するために、若い選手たちの更なる奮起に期待したい。
【了】