得点力と守備力両方が求められる時代
今季の広島は攻守ともにJ最高レベルを誇った。73得点、30失点はいずれもリーグトップの数字である。1シーズン制に移行した2005年以降、最多得点・最少失点で優勝したチームはなく、2001年のジュビロ磐田まで遡らなければならない。
それくらい珍しい現象だが、今後、リーグ制覇を達成するためには得点力でも失点数でも突出する必要があるのではないか。少なくとも広島は両方を兼ね備えており、それは最終節の湘南戦でも見られた。
広島はじわじわと相手を押し込みつつも、無闇にイケイケにはならない。ボールを奪われれば素早く帰陣し、分厚いブロックで相手を迎え撃つ。攻撃をしながらリスク管理を怠らない。そして、チャンスを逃さず確実に得点を重ねる。
湘南も縦に速い攻撃をベースに相手陣内に多くの選手がなだれ込んでいった。シュートに持ち込む場面も作るなど、防戦一方ではなかった。しかし24分、広島はドウグラスのゴールで先制すると、1分後には青山敏弘の糸を引くようなミドルであっという間に2点を奪い、リードを広げた。
結局、ドウグラスはハットトリックを達成し、佐藤寿人もJ1最多タイの157点を記録するなどサポーターにとってはこれ以上ない展開となった。そして、湘南の攻撃を寄せ付けずに無失点で勝利を掴んだ。
得点力があるだけでも、失点が少ないだけでも頂点に立つことはできない。年間王者はCSで決められるが、広島の強さが改めて浮き彫りになった2015年だった。
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