レ・ブルーは頼もしいデータと共にユーロへ
ポグバは持ち前の突破力でボールを持って攻め上がれるが、彼がリリースした後にリレーできるテクニシャンがいれば破壊力は増す。フランス代表のオフェンス陣は、ジルーにしてもジニャックにしても「こいつにボールを持たれると怖い!」と相手をおののかせるタイプではないから、どこかにひとつ、怖い部分を作っておくのは得策だ。
バルブエナ恐喝に絡んだ疑いがかけられているベンゼマは、審議の結果が出るまで、バルブエナとの同席を禁じられている。とかく時間のかかる裁判が来年6月のユーロまで決着しなければ、デシャン監督はベンゼマかバルブエナ、どちらか一人しか代表に呼ぶことができない。
そうなった場合、デシャン監督はチャンスメイクができ、さらにチームに勢いを生み出せるバルブエナを選ぶような気がするが、イングランド戦では中盤の三角形をいつもの1ボランチの逆三角形ではなく、キャバイエをトップ下に置く正三角形を試していたから、いろいろな状況を想定して試行錯誤しているのだろう。
バルブエナ&ベンゼマ問題で頭が痛かったところへ、テロ攻撃の標的になるという別の火種を抱え、フランス代表は受難の時期にある。
しかし、彼らにはある前向きなデータがある。近年のワールドカップや欧州選手権では、開催国の優勝は圧倒的に少なくなっている。各国のレベルが以前よりも拮抗している上に、2年間にわたって熾烈な予選を戦い抜いてきた参加国に比べ、相手国が100%真剣になることはないフレンドリーマッチしか戦っていないというハンデがその大きな要因だ。
しかしその中でフランスは、80年代以降で唯一ユーロ(84年)、そしてワールドカップ(98年)をホスト国として優勝するという「自国開催に強い」実績をマークしているのだ。
今回も、ドラマチック・ヒーローとなれるか。レ・ブルーの戦いは続く。
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