重みがあったイングランド対フランスの黙祷
その後、両軍の選手たちがセンターサークルに沿って輪になり、1分間の黙祷。各国の試合会場でも黙祷が行なわれたが、当事国のフランスを迎えたウェンブリーのそれは、ことさら重みがあった。
試合中も、テロの襲撃で従姉妹を亡くしたラサナ・ディアラの途中出場がコールされると会場から温かい拍手が贈られるなど、この日の試合は友好的なムードに包まれていた。
あの事件があってからというもの、殺伐とした報道ばかり目にしていたフランス人にとっても、ほっこりと和む気持ちになれるイベントだったように思う。
世界各地ではパリの現状を憂う報道に溢れているが、パリジャンたちは「いつもどおり楽しく暮すのがテロに屈しない姿勢の証!」と、できるだけそれまでどおりに生活しようとする前向きな人が多い。なので、ここでもテロ絡みの話はこの辺にして、肝心のサッカーの話を。
試合は2-0でイングランドが快勝した。得点を挙げたのはデル・アリと、キャプテンのルーニー。
フランス代表の選手たちが精神的にも万全でなかったこともあり、イングランドの記者たちは「この試合の結果は特に何の意味もない」と話していたが、その中で、シニア代表デビュー戦で初ゴールをあげたアリのパフォーマンスは、来年のユーロへ向けてのメンバーを絞る上でも収穫だった。
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