イタリアサッカーがフランスに示した連帯
ユベントスvsミランは、パリ同時多発テロで多大な痛みに瀕したフランスへのオマージュで始まった。整列する両イレブンの前には、フランス国旗が掲げられる。そして試合前に流されるのは、今季から採用されたセリエA公式アンセム「オ・ジェネローザ(おお気高き者よ)」ではなく、フランス国歌「ラ・マルセイエーズ」。
そしてその間、スクリーンには「PACE(イタリア語で「平和」)」というメッセージともに、スタメンならびにベンチ入りしていた全てのフランス人選手が三色旗をバックに映し出された。
ユベントスからはポール・ポグバ、パトリス・エブラ、マリオ・レミナの3名、ミランからはエムバイエ・ニアン、フィリップ・メクセスの2名。国歌に合わせて起立したユベントス・スタジアムの観衆は、曲が終わっても1分くらい拍手を続けていた。
ご近所さん同士の国際試合で、イタリアでは国歌演奏中にブーイングが上がることもある。2012年11月にパルマで行われたイタリアvsフランスがまさにそうだった(その後、他の客が拍手を意図的に大きくしブーイングは掻き消されている)。それを思えば、スタジアムがこういう力強い空気を作り出していたことには素直に感激を覚えた。
フランスばかり強調されることには、批判も当然出るかもしれない。犠牲者の追悼と、遺された者への励ましと連帯、そして平和への強い願いは、たとえ立場が違えど理解するべきメッセージなのではないだろうか。