Jリーグ勢に求めたいメンタル面の成長
ただ、今回のファイナルに進んだ両チームに共通する強みはボールが絡むところでの強さとゴール前の厳しさだ。後者は攻撃にも守備にも言えるのだが、絶対に死守するべきところではファウルのリスクがあっても怯まずに体を付けてクリアを狙う、攻める側はそれを押しのけてフィニッシュに持ち込もうとする。
Jリーグは普段から厳格なジャッジに守られすぎている部分もあるかもしれないが、そこを鍛え上げていかないと、日程などの問題が改善されても、準決勝からさらに先まで進出することは難しいのではないか。
広州桓大や一部の中東クラブとJリーグでは資金力に差があり、特に外国人のタレント力で差がつきやすいのは確かだが、それだけで全てが決まるわけではない。Jリーグには技術的なベースの高さと組織として戦える強みもあるし、その中で外国人や代表クラスの個を上乗せする形がうまく組合わされば、今回のガンバ大阪や柏レイソルの様にいいところまでは行けることは証明された。
ただ、勝負どころの強さ、厳しさというのは単にフィジカルというより、メンタル面を含めて伸ばしていく必要があるかもしれない。
Jリーグのジャッジをアジア仕様にするかどうかは別として、ACLに出場するチームは相手がギリギリのところで勝負してくることを想定し、そこにしっかり対抗できる様に準備をしておくとか、Jリーグであればパスをしてくる様な距離や角度でもアジアではシュートを狙ってくるというのを習慣として頭に入れてトレーニングするなど、そうした基準を身に付けていけば、メンバー構成やチーム状態のサイクルなどがうまく噛み合ったクラブが、アジア王者を決めるファイナルまで辿り着くことができるのではないか。
今回はアジア王者としてクラブW杯に参加する権利を逃してしまったが、来年こそ決勝の場でJリーグのクラブが優勝トロフィーを掲げる姿を見られることを期待している。
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