パリで起きたテロ事件。内戦を経験した指揮官の見解
さて最後に、13日のパリ同時多発テロに関するミハイロビッチ監督の反応を紹介したい。この人自身は自らもまた親族もユーゴスラビア内戦の只中に巻き込まれ、戦禍の中にいるということがどういうことかを実体験として知っている人物である。
時折「戦争に比べればスタジアムのブーイングなど生やさしい」という類のことを言っていたが、今回のことについて自身の経験を振り返りながら、こう見解を述べていた。
「フランスの国民の皆さんに連帯の意を示したい。それにしてもおかしな戦争で、いつ何が身に降りかかってくるのか全く予想ができず、何でも起こりうる。ここがユーゴスラビアの内戦と異なる点だ。
現在の非常に難しいが、我われは出来るかぎり心を落ち着けて生活していかなければならない。彼ら(テロリスト)の狙いは、恐怖を植え付けることにあると思うから」
いろんな意見、主張はあると思うが、「心を落ち着けて」という部分は傾聴に値するだろう。
明日ユベントス戦が行われるトリノではマドンナのコンサートも重なり、厳戒態勢は強まっているという。不穏な空気の中では、堂々と日常を生きる姿勢そのものにも重要性があるのかもしれない。
【了】