指揮官が示した意思表示とは
いずれにせよ、本田にとっては辛い状況が続く。トップ下はシステム上廃止され、右ではアレッシオ・チェルチにポジションを取られ、左でもニアンが台頭。愚直にはすぎるが、練習の上でコンディションを上げ、アピールを狙うという道を狙うよりほかはないのだ。
その点について同監督は、興味深い発言をしていた。代表から戻ってきた本田の調子について尋ねられると「シンガポールとカンボジアに勝ったんだったな」と語ったのだ。
両試合で本田は連続ゴール。もちろんこの結果が、ミラン内部での評価の改善につながるわけは当然ながらあるまい。だが、どういうパフォーマンスをしたかどうかはチェックしているぞ、という意思表示であることは確かだ。
そうしたチェックは、当然代表に招集された選手全員に行ってるだろう。もちろん、ミラネッロに残った選手は近場でコンディションをチェックしている。指揮官は全員をフラットに見る。その上で、試合に使ってもらえるようアピールするべきはやはり選手だ。
「彼は常に準備万端でいる。そうでなければどんなサムライだというのだ。我われは皆彼(の活躍)を待っている」
嫌々ミランにいるくらいなら移籍するのは自由、ただし選手の立場は皆同じだから努力しろと突き放したミハイロビッチ監督は、本田のアピールを待つ姿勢を示した。
月並みだが、あとは現在の立場で努力するほかはない。代表遠征中に本田が「ベンチに座っている人間の気持ちが分かってきた」とコメントしたと聞いたが、その通り腐らずチャンスをうかがう姿勢を見せる事ができるか。ユベントス戦でもし出場機会があれば、その執念がどれだけプレーに現れているかどうかを見たい。
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