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サッカー界ができる“テロとの戦い”。パリの大きなテロ事件とカンボジアの小さな試合から考える

text by 植田路生 photo by Yukiko Ogawa , editorial staff

サッカー界ができる“テロとの戦い”

 前述したように、サッカーは異文化間の衝突だ。代表戦やチャンピオンズリーグは分かりやすい例だが、カンボジアであったアビスパの試合もその1つ。Jリーグでも地域的な違いがもっとはっきり出てくれば、“異文化対決”が見えやすくなるだろう。

 そう考えるとサッカー界は異文化を受け入れる素養は他分野に比べてもあると言えるし、実際にそうなっている。異国との対戦はもちろん、チーム内に外国人選手がいる場合が多い。異文化だらけだからだ。

 例えばブラジル人選手がいるクラブのサポーターはポルトガル語で書かれた横断幕を掲げることは珍しくなく、日本人選手も言葉を学んでコミュニケーションをとろうとしている。このような慣習がもっと外にも広まるといい。

 それらは瑣末なことに思えるかもしれない。だが、1人ひとりの意識が変わり、他者を受け入れるメンタリティーになっていくことが重要ではないか。心を閉ざして“違うもの”を排除し、高性能の戦闘機で空爆することは、本当に正しい“テロとの戦い”だろうか。私には“テロからの逃亡”に映る。

 サッカーを通じて触れた異文化を理解し、受け入れ、他者への想像力を膨らませ、それをまた他人に伝えていく。それを続けていくことが、私たちにできる“テロとの戦い”ではないだろうか。

【了】

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