見直すべきボランチの構成
今回はボランチを長谷部誠、山口蛍、遠藤航、柏木陽介の4人で構成したが、タイプとして大別するなら長谷部、山口、遠藤が攻守のバランサー、柏木がゲームメーカーとなる。
長谷部や山口もパスが苦手という訳ではないし、DF出身の遠藤も積極的な攻め上がりに特徴のある選手だ。しかし、中盤で主体的に攻撃を組み立てる役割は普段の所属チームでも担っていないと難しい。
その意味でも今回のメンバーはアンバランスな構成だったと言える。シンガポール戦で金崎夢生が太ももを負傷し、カンボジア戦の前に清武弘嗣が右足の第五中足骨を骨折、酒井宏樹が体調不良で試合を欠場した。不謹慎を承知で言うならば、もし柏木に何かあれば、より苦しい戦いを強いられていた可能性が高かっただろう。
現代サッカーにおいて中盤はもともと消耗が激しく、体力的な理由で試合中に交代しなければならないケースも多いポジションだ。
ましてハリルホジッチ監督のハードワークをベースにしたスタイルなら、なおさらだろう。柏木の様なタイプをオプションではなくメインとして考えるなら、やはり最低2人は同等の役割を担える選手をメンバーに入れる必要がある。
もちろん最終予選、さらに世界での戦いとなれば同格あるいは格上が相手になり、中盤の攻防が激しくなる分、攻守の切り替わりからカウンターのチャンスも多くなる。そうした想定の中で、時にはカンンボジア戦で機能しなかった山口と遠藤という組み合わせが有効になるケースも出てくるはずだ。
【次ページ】育たないゲームメイカー。次の候補は?