ハリルも激高した最悪の前半
12日の2018年ロシアワールドカップアジア2次予選・シンガポール戦から8人ものメンバーを入れ替え、大胆な選手起用で17日のカンボジア戦(プノンペン)に勝ちにいった日本。しかし前半の内容はヴァイッド・ハリルホジッチ監督が激高するほど悪かった。
「足元足元になりすぎてるところがあったんで、もうちょっとボランチあたりから裏を狙ってもよかった」と代表戦初のキャプテンマークを巻いた岡崎慎司(レスター)が反省すれば、前半で交代を強いられた遠藤航(湘南)も「サイドチェンジで横に揺さぶりながらクロスで終わったり、自分がクロスに入っていくことを考えていたけど、うまくいかず、ミスも多かった」とガックリ肩を落とすしかなかった。
ベンチから見ていた本田圭佑(ミラン)が「幅がなかった。シンガポール戦の前は幅を出して、中に入る時とサイドで起点になる時を使い分けて、センタリングからセカンドボールを中で拾いに行くことをやってきたけど、今回また徹底できなかった」と問題点をズバリ指摘した通り、日本は岡崎と香川真司(ドルトムント)の両エースをスタメン復帰させたにもかかわらず、攻めの迫力を出せなかったのだ。
後半から長短のパス出しに長けた柏木陽介(浦和)や本田が出てきて、リズムを引き戻し、何とか2点を奪うことに成功したが、FIFAランキング183位の相手に2-0の辛勝は誰が見ても物足りない。試合前日の「年内最後の試合を美しく勝って締めくくる」という指揮官の発言とは、大きくかけ離れたゲームになってしまった。
実際、2015年の日本代表はアジア相手に同じような苦しみを味わい続けた。1月のアジアカップ(オーストラリア)、6月から始まったロシア大会予選、8月の東アジアカップ(武漢)を通して、自陣に人数をかけて守備を固める相手を攻略しきれなかった。
「こういう相手をとやるのが下手」と本田も歯に衣着せぬ物言いを見せたが、ハリルホジッチ監督がゴールへの解決策として第一に与えたクロス攻撃が的中したのは、今回のカンボジア戦の終了間際に藤春廣輝(G大阪)の折り返しから彼自身が挙げた2点目など数えるほどしかない。