互いに似た存在であることを認める香川と清武
「11人くらいで彼らは守ってくるし、僕たちもやはり人数をかけてゴール前に進んでいかなきゃいけない。この前のカンボジア戦の試合、ホームであった試合を今日も見ましたけど、まだまだやはり攻撃の枚数やタイミングがあんまりよくなかったし、チームとしての距離感も迫力がなかった」
そう語る香川は周りをうまく使いながら最後はラストパスの受け手になるぐらい、積極的にゴール前に入っていくことをイメージしている様子だ。前述のハーフコートマッチでも、そうした動き出しが目立った。
チャンスメークの中心として機能しながら、ゴール前でフィニッシュに直接関わる仕事は香川の真骨頂であり、引いて守る相手から得点するにはよりそうした働きが求められる。
その中で香川が重視するのはコンビネーションだ。「どれだけみんながゴールに対していいイメージの共有ができるか、いい距離感でやれるかっていうのは、こういう引かれた相手、守りを固められる時は大事」と語り、一瞬の隙やスペースを作る作業を周りと共有することで初めて自分がゴールに関わる仕事も可能になることを強調する。
そうした意識はシンガポール戦で先発した清武弘嗣に通じるものがあるが、日本代表では香川がよりフィニッシャーとしてのキャラクターが強い。
清武はなるべく高い位置でトップの金崎夢生をサポートし、ワイドな位置で正確にボールを捌いてはウィングの本田圭佑や武藤が一度サイドを起点にしたところから、タイミング良く中に入っていける状況を作り出していた。
そうしたリンクマンの役割はハイレベルにこなした一方で、ポジションの割にはゴール前でフィニッシュに絡むシーンが少なかったのも確かだ。
その試合での清武のプレーについて香川は「本人は結果がでなくて悔しそうでしたけど、ところどころで起点になっていました」と語っている。
ここに来て同じポジションを争うライバルとして注目が高まる2人ではあるが、セレッソ大阪のつながりだけでなく、タイプとして似た存在であることをお互いに認めるところがある。清武などは自身のスタイルを一言で表現する場合に香川を引き合いに出すほどだ。