小学3年からサッカーとフットサルを並行
最初は火・木・金曜日のフットサルだけをやっていたが、小学3年からは同グループ内にある「セントロ津南」というサッカーチームでも活動しはじめた。ふたつの競技を掛けもちし、多忙な日々を送るようになる。
「セントロは自分が入った頃、できたばかりだったんで、3年生の自分が6年生の大会に出るような感じでした。だから、いつもボロ負け。全然ダメでした」
くじけそうになるたびに、支えてくれたのが父だった。益己さんは「焦らず、ゆっくりやれ」と息子に言いつづけた。
「ひとつのゲームに勝った負けたはあるけど、今の時期は技術を身につけるのが一番大事なんだよ」と父は常にやさしく諭したのだ。
プロになった現在まで続く、ビデオを見ながらの意見交換もこの頃、始まった。
「『今日、どうだった?』と夢生にはよく感想を聞きました。それで本人が落ちこんでいたりすると『周りはよくないと言ってるかもしれないけど、お父さんはそうは思わないぞ』と励ましたり。サッカーのプレーは試合の局面局面だけで判断できないことも多いですよね。試合全体、あるいは、その子の将来を考えながら良し悪しを判断すべきだと思うんです。そういう大きな視点をもって、夢生にはアドバイスをしたつもりです」
誠心誠意、サポートしてくれる父の存在に後押しされ、夢生少年は必死にボールを蹴った。学校の休み時間もサッカーに費やすほどの熱の入れようだった。
「(サッカーとフットサル)ふたつの競技をやったことでボールに触れる時間がすごく長かった。それがよかったと思うんです。フットサルの足の裏を使ったプレーは普通のサッカーにはないし、そういうのを学べたのも大きかった」と本人は言う。