慣れ親しんだ人工芝で結果を残すか
だからこそ、目下E組ダントツ最下位のカンボジアからは1点と言わず、2点3点と大量ゴールを奪いたいところ。彼は2008年の代表デビュー以降、ハットトリックを達成したことがない。それくらいのインパクトを残すだけの力の差は確かにある。それを現実にするためにも、早い時間帯に先制点を挙げることが肝要だ。本田もその重要性を繰り返し強調していた。
「シンガポール戦は、個人的には点が取れていなかったら最悪な試合だった。そういう緊張感の中で結果が残せてよかった。カンボジア戦もチームとして立ち上がりからシンガポール戦の前半みたいに早い時間帯に先制点を取れるとリズムを作れるし、余裕が生まれると。チーム全体が一気に落ち着くと思う」と彼は冷静な物言いをしてみせた。
国際Aマッチ33ゴールという輝かしい実績を残してきた本田と言えども、ミランでベンチを温め続けていたら、日本代表の定位置が危うくなりかねない。
2014年ブラジルW杯以降、岡崎が君臨していた1トップの座も、彼がイングランドで足踏み状態を強いられている間に金崎や武藤嘉紀(マインツ)が台頭。決して安泰とは言えなくなってきている。
本田の右FWも、ドイツで一気に評価を上げている原口元気(ヘルタ)や若干20歳の南野拓実(ザルツブルク)らが力をつけてきているだけに、ここで改めて格の違いを示す必要がある。
ガンバ大阪ジュニアユースに星稜高校、CSKAモスクワと、人工芝ピッチは慣れ親しんでいる。むしろ得意とする環境で、紆余曲折の続いた2015年代表戦を清々しい形で締めくくりたいところだ。
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